【PDF楽譜】佐藤弘和:ギター四重奏のための想い出のラベンダーヒル(4G)
編成:四重奏
ページ数:26ページ(パート譜付)
想い出のラベンダーヒルについて(富川勝智)
この曲を佐藤弘和さんに頼んだのは2014年の夏を過ぎた頃だったと思います。なにかのコンサートの打ち上げの場で頼みました。私の門下生で結成しているリオリコ・ギターアンサンブルが「北海道ギターフェスティバル」にゲストで招待されており、何か目玉になる“らしい”曲が欲しかったからです。2013年にこのアンサンブルグループはアンドレス・セゴビア国際ギターコンクール室内楽部門で優勝しており、その時点でスペインとアメリカでの演奏ツアーが決定していました。先を見据えると邦人作曲家による本格的なギターアンサンブル作品が必要と感じていたということもあります。
いずれにしても、差し当たり北海道での公演が決定していたので、弘和さんにしたリクエストは「“北の国から”みたいなイメージで書いて」ということ。フジテレビでやっていた名作ドラマ『北の国から』のテーマソングはさだまさし氏が脚本家の倉本 聰の家に呼ばれた時、ほぼ即興で作ったという逸話があります。だからこそシンプルで素直なメロディーラインが印象的なわけです。大自然の中でのちょっと複雑な人間ドラマ……たまーにキタキツネがジャンプしていたり。そんな話をしながら、作品のイメージを弘和さんに伝えました。
2015 年 8 月に作品が完成。スコアを見てすぐにギターを手にとり弾いてみましたが、まさに“北海道!”な曲が生まれていました。耳に強く残るメロディー、乾いた清々しい空気の流れ、そして最後のアレグロ部分での疾走感。アンサンブルで音を出してみて、室内楽作品としての完成度もすぐに確認できました。そして10月に北海道ギターフェスティバルで初演。その後も当アンサンブルの定期演奏会や海外での公演でも大人気の楽曲となっております。
作品の中にあるイメージをしっかりと汲み取って演奏してくれることを望みます。細かい音型やリズムの中にしっかりと北海道のイメージが根付いています。今まで多くの方から楽譜の入手方法を訊かれていましたが、やっと正式出版されるので何故か安心しています。この弘和さんの傑作が少しでも多くの方に弾かれますように。